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Pandoc reference.docx の作り方:Markdown をブランド付き Word に

Markdown はクリーンな正本を与えてくれますが、遅かれ早かれ「会社が作ったと分かる Word ファイル」を求められます。社内フォント、ブランド化された見出し、一貫した余白。Pandoc は reference docx と呼ばれる 1 つのファイルでこれを解決します。書き出される文書のすべてのスタイル——見出し、本文、表、脚注——はそのファイルから継承されるため、良いテンプレートを作るかどうかが、ありきたりな出力と出せる文書の分かれ目になります。

この記事では、reference docx の仕組み、作り方、注目すべきスタイル、そして結果を堂々巡りせずにテストする方法を順に解説します。考え方はコマンドラインでもブラウザでも同じです。完成した reference docx は Pandoc の --reference-doc フラグにそのまま渡せます。

reference docx がすべてを決める理由

Pandoc が docx ファイルを書き出すとき、Markdown のレイアウトをコピーするわけではありません。新しい文書を生成し、各要素に名前付きスタイルを割り当てます。最上位セクションには Heading 1、通常の段落には Body Text、キャプションには Table Caption です。それらのスタイルがどう見えるかを決めるのは Word で、その定義はあなたが渡した reference docx から来ます。

参照ファイルそのものの内容は無視されます。意味を持つのはスタイルと文書プロパティだけです。ページサイズ、余白、ヘッダーとフッター、さらには既定の言語まで。この分離こそがこの仕組みを安定させています。生成された出力を手で直すことはなく、テンプレートを一度直せば、以後の変換すべてが自動的に変更を引き継ぎます。

最初のテンプレートを作る

実用的な出発点は 2 つあります。1 つ目は Pandoc に既定のテンプレートを出力させる方法です。--print-default-data-file reference.docx 引数を付けて pandoc を実行し、出力を custom-reference.docx などのファイル名で保存します。Word で開き、気になるスタイルを修正して保存しましょう。Pandoc 自身のファイルから始めるので、writer が使いうるスタイルはすべて正しい名前で揃っています。

2 つ目の道は実際の出力から始める方法です。まず代表的な Markdown 文書を docx に変換し、その結果を開いて直接スタイルを整え直します。読者が実際に目にする構造そのものを、抽象的なサンプルではなく実コンテンツの癖ごと編集するので、現実から目を背けずに済みます。

最も重要なスタイル

まず見出しの階層から始めましょう。Heading 1 から Heading 6 が文書全体のトーンを決めるので、フォント、サイズ、間隔、番号付けはここから調整します。Title、Subtitle、Author、Date は、Markdown にそれらのフィールドを持つ YAML front matter があるときに現れるタイトルブロックを整えます。Body Text は通常の段落を司り、First Paragraph を使えば見出し直後の段落を特別扱いできます。字下げを落とす、よくある組版の技です。

Pandoc がコンパクトなリストに適用する Compact も見落とさないでください。リストが窮屈に見えたり間が抜けて見えたりする場合、直すべきはこのスタイルです。この少数のスタイルを整えるだけで、どのページでも読者が気づく部分のほとんどをカバーでき、Word の珍しいダイアログに触れる必要もありません。

表・脚注・キャプション

表は Table スタイルで整えます。罫線、セルの余白、ヘッダー行の網掛けを制御します。Word の表スタイルエディタは扱いにくいので、見出しより時間がかかると思ってください。その見返りとして、変換されるすべての表が、writer 既定の素のままではなく一貫したルールを継承します。

Footnote Text はページ下部の注の本文を、Footnote Reference は本文中の上付きマーカーを整えます。Image Caption と Table Caption は、Pandoc が図と表にそれぞれ付けるキャプションを担当します。一度整えれば、長い文書も最初の章から最後の付録まで一貫します。

コードブロックと数式

コードブロックは Source Code スタイルに、行内コードは Verbatim Char に包まれます。Source Code に等幅フォント、薄い背景の網掛け、適切な行間を与えれば、技術文書は一気に意図のある見た目になります。構文ハイライトを有効にした場合の色はスタイルの上に重ねられるので、ハイライトテーマが変わっても基本の書式は保たれます。

数式はまったく別の道を通ります。Pandoc は TeX 記法を Word ネイティブの OMML 数式形式に変換するため、数式は画像ではなく本物の編集可能な方程式として届きます。見た目は文書の数式フォントに従い、Word の既定は Cambria Math です。ここでスタイルを直す必要はほとんどありません。方程式が段落スタイルの体系の外にあることだけ押さえておきましょう。

テンプレートを使い、ループを回す

コマンドラインでは、ループ全体が 1 つのフラグで済みます。pandoc --reference-doc=custom-reference.docx input.md -o output.docx です。このサイトの Markdown から Word への書き出しは現在 Pandoc 組み込みのスタイルに依存しており、Pro テンプレートオプションが受け付けるのは Markdown、HTML、RST、LaTeX 出力向けの Pandoc テキストテンプレートです。ブランド付き docx には、現時点で reference docx と CLI フラグの組み合わせが確実な道筋です。

テストは一回きりの行事ではなくループにしましょう。スタイルを 1 つか 2 つ直し、同じサンプル文書を変換し直して前の出力と比較します。小さく代表的なファイル——2 段階の見出し、表 1 つ、脚注 1 つ、コードブロック 1 つ——で反復すれば、数秒で問題が浮かび上がり、闇雲なスタイル直しを防げます。

テンプレートを編集者や出版社へ渡す

完成した reference docx は、フォント、余白、ヘッダー、フッター、見出しの色という視覚的アイデンティティ全体を符号化した、小さな自己完結のアーティファクトです。コンテンツの隣に置いてバージョン管理し、分かりやすい名前を付ければ、誰でも Word のスタイルダイアログに触れずに Markdown からブランドに沿った Word ファイルを再生成できます。

編集者や出版社にとっても利点があります。文書は直接書式ではなく本物の名前付きスタイルを伴って届くので、下流にある彼ら自身のテンプレートが何でも再マッピング・上書きできるからです。1 つの Markdown ソースと 1 つのテンプレートファイルで、ウェブサイト、PDF パイプライン、Word 納品のすべてを、手作業の再フォーマットなしに賄えます。

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